nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2024-02-14 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 入玉ボーナス

tanuki- 2024-02-14 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 入玉ボーナス

実験内容

  • nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させる。
  • 学習データの読み込み時、入玉していた場合に評価値にボーナスを追加する。
    • 入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 10 点、大駒 1 枚につき 50 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 10 点追加する。

    棋譜生成

    生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
    評価関数 Hao (tanuki-.halfkp_256x2-32-32.2023-05-08)
    1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
    開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。戦型が角換わりの対局が 10% になるよう調整した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
    生成局面数 10 億局面 × 8 セット
    生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

    シャッフル条件

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効

    機械学習

    機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2023-10-29.halfkp_1024x2-8-32
    学習モデル halfkp_1024x2-8-32
    学習手法 ミニバッチ SGD
    初期学習率 (lr) 0.25 収束後 0.025
    最適化手法 なし
    学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
    batch-size 8192
    threads 8
    num-workers 32
    accelerator gpu
    devices 1
    features HalfKP
    max-epoch 1000000
    score-scaling 361
    lambda 1.0 収束後 0.5
    勝敗項の教師信号 0.999
    num-batches-warmup 10000
    newbob-decay 0.5
    epoch-size 1000000
    num-epochs-to-adjust-lr 500
    学習を打ち切る下限 newbob scale 1e-5
    1 epoch 毎のネットワークパラメーターのクリップ あり
    ネットワークパラメーターの量子化 量子化なしで学習し、収束後に量子化する。
    ネットワークパラメーターの初期化方法 pytorch のデフォルトの初期化手法で初期化する。
    勾配の正規化 なし
    momentum 0.9
    入玉ボーナス 入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 10 点、大駒 1 枚につき 50 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 10 点追加する。

    レーティング測定

    対局相手 https://docs.google.com/document/d/1mTWCV4d3WJEwbDNAIQDIcy77R2oRG0UE7rgd1fV8KXw/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-22 https://docs.google.com/document/d/1-C636vmDdw61N0w536jKR74g4YvD4MyKIeu3vmHyVpA/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-31
    思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
    対局数 5000
    同時対局数 64
    ハッシュサイズ 384
    開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

    実験結果

    機械学習

    検証ロス

    入玉ボーナスあり … 0.2613000047885307

    入玉ボーナスなし … 0.261410128337581

    ネットワークパラメーターの分布

    mean=-32.138671875 std=29.36127281188965

    mean=-0.00931315403431654 std=3.898991584777832

    mean=2108.75 std=2065.105224609375

    mean=-0.06732177734375 std=5.976457595825195

    mean=-2485.1875 std=5012.57373046875

    mean=4.328125 std=32.8122673034668

    mean=5335.0 std=nan

    mean=1.78125 std=50.12483596801758

    レーティング測定

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-02-06 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-22

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する true true

    定跡の手数を無視する true true

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2432(53.1%) 後手勝ち2146(46.9%) 引き分け422

    engine1

    勝ち2477(54.1% R26.2 +-9.7) 先手勝ち1313(28.7%) 後手勝ち1164(25.4%)

    宣言勝ち32 先手宣言勝ち18 後手宣言勝ち14 先手引き分け204 後手引き分け218

    engine2

    勝ち2101(45.9%) 先手勝ち1119(24.4%) 後手勝ち982(21.5%)

    宣言勝ち69 先手宣言勝ち32 後手宣言勝ち37 先手引き分け218 後手引き分け204

    2477,422,2101

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-02-06 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-31

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する true true

    定跡の手数を無視する true true

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2413(53.1%) 後手勝ち2133(46.9%) 引き分け454

    engine1

    勝ち2254(49.6% R-2.6 +-9.6) 先手勝ち1185(26.1%) 後手勝ち1069(23.5%)

    宣言勝ち51 先手宣言勝ち26 後手宣言勝ち25 先手引き分け249 後手引き分け205

    engine2

    勝ち2292(50.4%) 先手勝ち1228(27.0%) 後手勝ち1064(23.4%)

    宣言勝ち56 先手宣言勝ち29 後手宣言勝ち27 先手引き分け205 後手引き分け249

    2254,454,2292

    学習ロスと検証ロスは、入玉ボーナスを加えたほうが低くなった。

    学習率が下がるタイミングは、入玉ボーナスを加えたほうが遅かった。

    レーティングは、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して R24.2 高く、有意な差があった。ただし、宣言勝ちの回数は、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数のほうが 2 倍近く多かった。また、入玉ボーナスなしで学習させた評価関数に対して R2.6 低かったが、有意な差はなかった。

    考察

    学習ロスと検証ロスが、入玉ボーナスを加えたほうが低くなった理由は、今日データの評価値の絶対値の平均値が上がり、クロスエントロピーが下がったためだと思う。

    学習率が下がるタイミングが、入玉ボーナスを加えたほうが遅かった理由は、収束するまでの間に、より多くの学習が必要だったためだと思う。

    レーティングが水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して有意に高かった理由は、前回同様、学習データを作成した際に使用した Hao のレーティングが、水匠 5 より高いためだと思う。

    また、宣言勝ちの回数に 2 倍近い差があったのも、前回同様、 Hao を Suishopsv-150m で Fine-tuning した際、勝敗項の教師信号を 0.99 と低めに設定したためだと思う。ただし、前回の実験では 3 倍近い差がついていており、それと比べると、やや改善していると思う。

    入玉ボーナスなしで学習させた評価関数と有意な差がなかった理由は、入玉ボーナスが棋力に悪影響を及ぼさないことを表していると思う。

    まとめ

    nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させた。その際、学習データの読み込み時、入玉していた場合に評価値にボーナスを追加した。ボーナスは、入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 10 点、大駒 1 枚につき 50 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 10 点とした。

    レーティングは、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して R24.2 高く、有意な差があった。ただし、宣言勝ちの回数は、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数のほうが 2 倍近く多かった。また、入玉ボーナスなしで学習させた評価関数に対して R2.6 低かったが、有意な差はなかった。

    レーティングが水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して有意に高かった理由は、前回同様、学習データを作成した際に使用した Hao のレーティングが、水匠 5 より高いためだと思う。また、宣言勝ちの回数に 2 倍近い差があったのも、前回同様、 Hao を Suishopsv-150m で Fine-tuning した際、勝敗項の教師信号を 0.99 と低めに設定したためだと思う。ただし、前回の実験では 3 倍近い差がついていており、それと比べると、やや改善していると思う。 入玉ボーナスなしで学習させた評価関数と有意な差がなかった理由は、入玉ボーナスが棋力に悪影響を及ぼさないことを表していると思う。

    次回は、ボーナス点を 2 倍にして学習させ、レーティングを測定したい。