nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2024-04-12 halfkp_256x2-256-256-256

tanuki- 2024-04-12 halfkp_256x2-256-256-256

実験内容

  • halfkp_256x2-256-256-256 ネットワークを学習させ、レーティングを測定する。
    • ランダムパラメーターからの学習には、 Hao を用いて生成した学習データを用いる。
    • Fine-tuning に Fine-tuning Suisho10Mn_psv を学習データとして用いる。

    棋譜生成

    ランダムパラメーターから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
    評価関数 Hao (tanuki-.halfkp_256x2-32-32.2023-05-08)
    1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
    開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。戦型が角換わりの対局が 10% になるよう調整した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
    生成局面数 10 億局面 × 8 セット
    生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した
    フォルダ名 tanuki-.halfkp_256x2-32-32.2023-05-08

    シャッフル条件

    ランダムパラメータから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.0

    Fine-tuning に用いる学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.1

    機械学習

    機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2024-04-09.halfkp_256x2-256-256-256
    学習モデル halfkp_256x2-256-256-256
    学習手法 ミニバッチ SGD
    初期学習率 (lr) 0.5 収束後 0.05
    最適化手法 なし
    学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
    batch-size 16384
    threads 8
    num-workers 8
    accelerator gpu
    devices 1
    features HalfKP
    max-epoch 1000000
    score-scaling 361
    lambda 1.0 収束後 0.5
    勝敗項の教師信号 0.999
    num-batches-warmup 10000
    newbob-decay 0.5
    epoch-size 1000000
    num-epochs-to-adjust-lr 500
    学習を打ち切る下限 newbob scale 1e-5
    1 epoch 毎のネットワークパラメーターのクリップ あり
    ネットワークパラメーターの量子化 量子化なしで学習し、収束後に量子化する。
    ネットワークパラメーターの初期化方法 pytorch のデフォルトの初期化手法で初期化する。
    勾配の正規化 なし
    momentum 0.9
    入玉ボーナス 入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 20 点、大駒 1 枚につき 100 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 20 点追加する。

    レーティング測定

    対局相手 https://docs.google.com/document/d/1FC3FvCxyJV6IRPfwOHOMcAlEoTsjmRY8JZpWkGVpgH8/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-03-24.1000
    思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
    対局数 5000
    同時対局数 64
    ハッシュサイズ 384
    開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

    実験結果

    機械学習

    ランダムパラメーターからの学習

    Fine-tuning

    ネットワークパラメーターの分布

    mean=-17.83203125 std=35.559715270996094

    mean=-0.005480769090354443 std=6.9276442527771

    mean=111.46484375 std=3325.249267578125

    mean=-0.21393585205078125 std=5.610009670257568

    mean=-2553.37890625 std=2987.79736328125

    mean=-0.1891632080078125 std=7.028472900390625

    mean=1.7109375 std=290.7167663574219

    mean=0.0166015625 std=2.349048137664795

    mean=2.0 std=nan

    mean=0.25390625 std=19.562118530273438

    ベンチマーク

    halfkp_256x2-256-256-256

    Total time (ms) : 60009

    Nodes searched : 35068174

    Nodes_searched/second : 584381

    halfkp_1024x2-8-32

    Total time (ms) : 60017

    Nodes searched : 62024216

    Nodes_searched/second : 1033444

    レーティング測定

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\bishop_exchange.2023-06-25.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-04-09 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-03-24.1000

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する false false

    定跡の手数を無視する false false

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2499(50.0%) 後手勝ち2501(50.0%) 引き分け0

    engine1

    勝ち0(0.0% R0.0 +-0.0) 先手勝ち0(0.0%) 後手勝ち0(0.0%)

    宣言勝ち0 先手宣言勝ち0 後手宣言勝ち0 先手引き分け0 後手引き分け0

    engine2

    勝ち5000(100.0%) 先手勝ち2499(50.0%) 後手勝ち2501(50.0%)

    宣言勝ち0 先手宣言勝ち0 後手宣言勝ち0 先手引き分け0 後手引き分け0

    0,0,5000

    学習ロスと検証ロスは、ランダムパラメーターからの学習、 Fine-tuning 共に、 halfkp_1024x2-8-32 より高くなった。

    ベンチマークは halfkp_1024x2-8-32 に比べて 43% 程度遅かった。

    自己対局では halfkp_1024x2-8-32 に対し、 1 勝も挙げることができなかった。

    考察

    自己対局で halfkp_1024x2-8-32 に 1 勝も挙げることができなかった理由は、バグだと思う。学習ロスと検証ロスが halfkp_256x2-256-256 と似たような形状であることから、学習器に問題はないと思う。学習器に問題がないとすれば、シリアライズに失敗していると考えられる。ただし、シリアライズが意図通り行われたとしても、学習ロスと検証ロスが halfkp_1024x2-8-32 より高く、 nps が低いため、レーティングは低いと予想できる。このことから、層の数を増やしても、レーティングを向上させることは難しいと思う。 halfkp_1024x2-16-32 や halfkp_1280x2-16-32 の実験も考慮すると、隠れ層第 1 層のチャンネル数を増やし、隠れ層第 2 層以降のチャンネル数を減らす、もししくは層数を減らしたほうが、レーティングが向上すると思う。

    まとめ

    halfkp_256x2-256-256-256 ネットワークを学習させ、レーティングを測定した。ランダムパラメーターからの学習には、 Hao を用いて生成した学習データを用いた。 Fine-tuning に Fine-tuning Suisho10Mn_psv を学習データとして用いた。

    自己対局では halfkp_1024x2-8-32 に対し、 1 勝も挙げることができなかった。自己対局で halfkp_1024x2-8-32 に 1 勝も挙げることができなかった理由は、バグだと思う。学習ロスと検証ロスが halfkp_256x2-256-256 と似たような形状であることから、学習器に問題はないと思う。学習器に問題がないとすれば、シリアライズに失敗していると考えられる。ただし、シリアライズが意図通り行われたとしても、学習ロスと検証ロスが halfkp_1024x2-8-32 より高く、 nps が低いため、レーティングは低いと予想できる。このことから、層の数を増やしても、レーティングを向上させることは難しいと思う。 halfkp_1024x2-16-32 や halfkp_1280x2-16-32 の実験も考慮すると、隠れ層第 1 層のチャンネル数を増やし、隠れ層第 2 層以降のチャンネル数を減らす、もししくは層数を減らしたほうが、レーティングが向上すると思う。

    次回は隠れ層第 2 層以降のチャンネル数を減らし、学習させ、レーティングを測定したい。