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コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2024-02-06 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 学習データ比較

tanuki- 2024-02-06 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 学習データ比較

実験内容

  • nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させる。
  • Hao を使用して生成した学習データで学習する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 Hao (tanuki-.halfkp_256x2-32-32.2023-05-08)
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。戦型が角換わりの対局が 10% になるよう調整した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
生成局面数 10 億局面 × 8 セット
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

シャッフル条件

生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
qsearch() あり
置換表 無効

機械学習

機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2023-10-29.halfkp_1024x2-8-32
学習モデル halfkp_1024x2-8-32
学習手法 ミニバッチ SGD
初期学習率 (lr) 0.25 収束後 0.025
最適化手法 なし
学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
batch-size 8192
threads 8
num-workers 32
accelerator gpu
devices 1
features HalfKP
max-epoch 1000000
score-scaling 361
lambda 1.0 収束後 0.5
勝敗項の教師信号 0.999
num-batches-warmup 10000
newbob-decay 0.5
epoch-size 1000000
num-epochs-to-adjust-lr 500
学習を打ち切る下限 newbob scale 1e-5
1 epoch 毎のネットワークパラメーターのクリップ あり
ネットワークパラメーターの量子化 量子化なしで学習し、収束後に量子化する。
ネットワークパラメーターの初期化方法 pytorch のデフォルトの初期化手法で初期化する。
勾配の正規化 なし
momentum 0.9

レーティング測定

対局相手 https://docs.google.com/document/d/1mTWCV4d3WJEwbDNAIQDIcy77R2oRG0UE7rgd1fV8KXw/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-22
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 384
開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

実験結果

機械学習

検証ロス

Hao … 0.261410128337581

水匠5 … 0.2513399218117319

ネットワークパラメーターの分布

mean=-32.5556640625 std=29.83448600769043

mean=-0.009473593905568123 std=3.7773518562316895

mean=3113.5 std=2727.462158203125

mean=-0.36029052734375 std=5.735721588134766

mean=-5197.4375 std=9097.38671875

mean=6.92578125 std=34.863407135009766

mean=6753.0 std=nan

mean=8.15625 std=51.89947509765625

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 思考エンジン2

name YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT

author by yaneurao by yaneurao

exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-31 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-01-22

定跡手数 256 256

定跡ファイル名 no_book no_book

思考ノード数 0 0

思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

持ち時間(ms) 300000 300000

秒読み時間(ms) 0 0

加算時間(ms) 2000 2000

乱数付き思考時間(ms) 0 0

スレッド数 1 1

BookEvalDiff 30 30

定跡の採択率を考慮する true true

定跡の手数を無視する true true

SlowMover 100 100

DrawValue -2 -2

BookEvalBlackLimit 0 0

BookEvalWhiteLimit -140 -140

FVScale 16 16

Depth=0 0

MinimumThinkingTime 1000 1000

対局数5000 先手勝ち2533(55.2%) 後手勝ち2057(44.8%) 引き分け410

engine1

勝ち2469(53.8% R24.2 +-9.7) 先手勝ち1349(29.4%) 後手勝ち1120(24.4%)

宣言勝ち19 先手宣言勝ち9 後手宣言勝ち10 先手引き分け215 後手引き分け195

engine2

勝ち2121(46.2%) 先手勝ち1184(25.8%) 後手勝ち937(20.4%)

宣言勝ち75 先手宣言勝ち39 後手宣言勝ち36 先手引き分け195 後手引き分け215

2469,410,2121

学習ロスと検証ロスは、 Hao で生成した学習データで学習させたほうが高かった。

レーティングは、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して R24.2 高く、有意な差があった。ただし、宣言勝ちの回数は、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数のほうが 3 倍近く多かった。

考察

学習ロスと検証ロスが Hao で生成した学習データで学習させたほうが高かった理由は、 Hao の評価値のスケールが水匠 5 より大きいためだと思う。このため、教師信号の評価値の絶対値が大きくなり、交差エントロピーが大きくなったのだと思う。

レーティングが水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して 有意に高かったのは、 Hao のほうが水匠 5 よりレーティングが高いためだと思う。また、宣言勝ちの回数が水匠 5 のほうが多かったのは、 Hao を Suishopsv-150m で Fine-tuning した際、勝敗項の教師信号を 0.99 と低めに設定したためだと思う。

まとめ

nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させた。その際、 Hao を使用して生成した学習データで学習させた。

レーティングは、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して R24.2 高く、有意な差があった。ただし、宣言勝ちの回数は、 水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数のほうが 3 倍近く多かった。レーティングが水匠 5 で生成した学習データで学習させた評価関数に対して 有意に高かったのは、 Hao のほうが水匠 5 よりレーティングが高いためだと思う。また、宣言勝ちの回数が水匠 5 のほうが多かったのは、 Hao を Suishopsv-150m で Fine-tuning した際、勝敗項の教師信号を 0.99 と低めに設定したためだと思う。

次回は、同じ学習データを用い、教師信号の評価値に、入玉時にボーナス点を付けて学習させ、レーティングを測定したい。