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コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2023-08-12 tanuki- 学習部データ生成部 TT_CLUSTER_SIZE=4

tanuki- 2023-08-12 tanuki- 学習部データ生成部 TT_CLUSTER_SIZE=4

実験内容

  • tanuki- 学習データ生成部で、 TT_CLUSTER_SIZE=4 に設定して学習データを生成する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 tanuki-wcsc28 FV_SCALE=16
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし
生成局面数 10 億局面
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した TT_CLUSTER_SIZE=4

機械学習

機械学習ルーチン やねうら王機械学習ルーチン
学習モデル halfkp_256x2-32-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
USI_Hash 1024
Threads 16
loop 1000
batchsize 1000000
lambda 0.5
eta eta1=1e-8 eta2=0.01 eta1_epoch=100
newbob_decay 0.5
nn_batch_size 1000
eval_save_interval 100000000
loss_output_interval 1000000
mirror_percentage 50
eval_limit 32000
weight_by_progress 無効
次元下げ K・P・相対KP
学習データ内で重複した局面の除外 バージョンのデフォルトに依存する
初期ネットワークパラメーター tanuki-wcsc28
勝敗項の教師信号 0.999

レーティング測定

対局相手 https://docs.google.com/document/d/1m0yCZ2wCdmbt4SE_OAXjBkCPkSlKjEgyIfrF1rbgtg8/edit tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=no
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 768
開始局面 たややん互換局面集

実験結果

棋譜生成速度

TT_CLUSTER_SIZE=3 に設定した場合 (tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=no)

981673134 / 1000000000

elapsed time = 45:00:00

current date time = 2023-07-25 20:55:01

finish date time = 2023-07-25 21:45:07

speed = 6096.10 (data/sec)

max speed = 6096.10 (data/sec)

TT_CLUSTER_SIZE=4 に設定 した場合 (tnk-wcsc28-2018-05-05.TT_CLUSTER_SIZE=4)

995594679 / 1000000000

elapsed time = 46:00:00

current date time = 2023-08-10 15:53:48

finish date time = 2023-08-10 16:05:57

speed = 6040.93 (data/sec)

max speed = 6040.93 (data/sec)

機械学習

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=0 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.TT_CLUSTER_SIZE=4\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16 Depth1=0

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=no\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16 Depth2=0

対局数5000 先手勝ち2528(56.4%) 後手勝ち1957(43.6%) 引き分け515

engine1

勝ち2275(50.7% R4.5 +-9.6) 先手勝ち1296(28.9%) 後手勝ち979(21.8%)

宣言勝ち105 先手宣言勝ち56 後手宣言勝ち49 先手引き分け228 後手引き分け287

engine2

勝ち2210(49.3%) 先手勝ち1232(27.5%) 後手勝ち978(21.8%)

宣言勝ち105 先手宣言勝ち52 後手宣言勝ち53 先手引き分け287 後手引き分け228

2275,515,2210

学習ロスは、 TT_CLUSTER_SIZE=4 のほうが TT_CLUSTER_SIZE=3 よりやや低かった。

検証ロスは、 TT_CLUSTER_SIZE=4 のほうが TT_CLUSTER_SIZE=3 より低かった。

学習率は、下がり始めたタイミングも下がり方も、 TT_CLUSTER_SIZE=4 と TT_CLUSTER_SIZE=3 とで同じくらいだった。

平手局面の評価値は、どちらも 40 程度だった。

評価値の絶対値は、どちらも 1 度上がったあと下がり、最終的には 1.13×10^9~1.14×10^9 付近に収束した。

レーティングは、 TT_CLUSTER_SIZE=4 のほうが R4.5 高かったが、有意差はなかった。

考察

学習ロスと検証ロスについては、 TT_CLUSTER_SIZE=4 のほうが、より学習データに近づけることができたことを表していると考える。

学習率については、 TT_CLUSTER_SIZE=4 と TT_CLUSTER_SIZE=3 とで、ほぼ同じような学習を行った事を表していると考える。だが、この考察は、学習ロスト検証ロスの考察と矛盾する。

平手局面の評価値については、学習において大きな問題が起こらなかったことを表していると考える。

評価値のスケールについては、今回生成した 2 つの学習データの教師信号の平均値が、ほぼ同じであったことを表していると考える。

レーティングについては、 TT_CLUSTER_SIZE=4 に変更しても、レーティング向上に寄与するような変化が無かったことを表している。

まとめ

tanuki- 学習データ生成部で、 TT_CLUSTER_SIZE=4 に設定して学習データを生成た。

結果、 TT_CLUSTER_SIZE=3 の場合と比べ、レーティングは R4.5 高かったが、有意差はなかった。

結果、世代カウンターを 4 回進めて生成した学習データを用いて学習させても、レーティングは上がらなかった。

次回は、学習データ生成時の自己対局の開始時に、各スレッドの history をクリアし、学習データを生成し、学習させ、レーティングを測定したい。