nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2023-08-02 tanuki- 学習データ生成部 世代カウンター4回進める

tanuki- 2023-08-02 tanuki- 学習データ生成部 世代カウンター4回進める

実験内容

  • tanuki- 学習データ生成部の各対局の開始時に、置換表の世代カウンターを 4 回進め、学習データを生成し、学習させ、レーティングを比較する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 tanuki-wcsc28 FV_SCALE=16
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし
生成局面数 10 億局面
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

機械学習

機械学習ルーチン やねうら王機械学習ルーチン
学習モデル halfkp_256x2-32-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
USI_Hash 1024
Threads 16
loop 1000
batchsize 1000000
lambda 0.5
eta eta1=1e-8 eta2=0.01 eta1_epoch=100
newbob_decay 0.5
nn_batch_size 1000
eval_save_interval 100000000
loss_output_interval 1000000
mirror_percentage 50
eval_limit 32000
weight_by_progress 無効
次元下げ K・P・相対KP
学習データ内で重複した局面の除外 バージョンのデフォルトに依存する
初期ネットワークパラメーター tanuki-wcsc28
勝敗項の教師信号 0.999

レーティング測定

対局相手 対局開始時に置換表をクリアせずに生成した学習データを用いて学習させた評価関数
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 768
開始局面 たややん互換局面集

実験結果

棋譜生成速度

置換表をクリアした場合

989533801 / 1000000000

elapsed time = 68:00:00

current date time = 2023-07-28 17:47:16

finish date time = 2023-07-28 18:30:21

speed = 4047.35 (data/sec)

max speed = 4047.51 (data/sec)

置換表の世代カウンターを 4 回インクリメントした場合

984792837 / 1000000000

elapsed time = 45:00:00

current date time = 2023-08-01 05:19:31

finish date time = 2023-08-01 06:01:01

speed = 6107.27 (data/sec)

max speed = 6121.44 (data/sec)

機械学習

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=0 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=4\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16 Depth1=0

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=yes\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16 Depth2=0

対局数5000 先手勝ち2478(55.1%) 後手勝ち2019(44.9%) 引き分け503

engine1

勝ち2199(48.9% R-6.9 +-9.6) 先手勝ち1233(27.4%) 後手勝ち966(21.5%)

宣言勝ち114 先手宣言勝ち54 後手宣言勝ち60 先手引き分け212 後手引き分け291

engine2

勝ち2298(51.1%) 先手勝ち1245(27.7%) 後手勝ち1053(23.4%)

宣言勝ち138 先手宣言勝ち72 後手宣言勝ち66 先手引き分け291 後手引き分け212

2199,503,2298

学習ロスは、置換表をクリアしたものと世代カウンターを 4 回進めたものは同じくらいだった。

検証ロスは、世代カウンターを 4 回進めたもののほうが下がった。

学習率は、下がり方は、置換表をクリアしたものと世代カウンターを 4 回進めたのものは、ほぼ同じだった。

平手局面の評価値は、 30 ~ 40 程度だった。

評価値のスケールは、どちらも 1 度上がったあと下がり、最終的には 1.13×10^9~1.14×10^9 付近に収束した。

レーティングは、世代カウンターを 4 回進めたもののほうが R-6.9 程度低かったが、有意な差はなかった。

棋譜生成速度は、世代カウンターを 4 回進めたもののほうが 3 割程度速かった。

考察

学習ロスと検証ロスについては、今回の実験結果を見る限り、世代カウンターを 4 回進めたほうが、過学習を抑えられると考える。一方、この考察は、前回の実験の考察における、「置換表をクリアした場合、置換表の誤ったエントリーを探索中に参照する可能性が減ると考える。これにより、探索の精度が高くなり、学習データの質が高くなった」と矛盾する。この矛盾の理由は、今回の実験結果からは分からない。

学習率についても、前回の実験の考察と矛盾すると考える。この矛盾の理由についても、今回の実験結果からは分からなかった。

平手局面の評価値については、学習において大きな問題が起こらなかったことを表していると考える。

評価値のスケールについては、今回生成した 2 つの学習データの教師信号の平均値が、ほぼ同じであったことを表していると考える。

レーティングについては、世代カウンターを 4 回進めても、学習データの質は高まらないことを表していると考える。

まとめ

tanuki- 学習データ生成部の各対局の開始時に、置換表の世代カウンターを 4 回進め、学習データを生成し、学習させ、レーティングを比較した。

結果、世代カウンターを 4 回進めて生成した学習データを用いて学習させても、レーティングは上がらなかった。

次回は、学習データ生成時の自己対局の対局開始局面の戦型の割合を調整し、評価関数を学習し、レーティング測定時の開始局面の戦型の割合により違いが出るかを測定したい。