tanuki- 2023-07-30 tanuki- 学習データ生成部 置換表クリア
実験内容
- tanuki- 学習データ生成部の各対局の開始時に置換表をクリアし、学習データを生成し、学習させ、レーティングを比較する。
棋譜生成
生成ルーチン | tanuki-棋譜生成ルーチン |
評価関数 | tanuki-wcsc28 FV_SCALE=16 |
1手あたりの思考 | 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード |
開始局面 | foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし |
生成局面数 | 10 億局面 |
生成条件 | 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した |
機械学習
機械学習ルーチン | やねうら王機械学習ルーチン |
学習モデル | halfkp_256x2-32-32 |
学習手法 | SGD ミニバッチ法 |
USI_Hash | 1024 |
Threads | 16 |
loop | 1000 |
batchsize | 1000000 |
lambda | 0.5 |
eta | eta1=1e-8 eta2=0.01 eta1_epoch=100 |
newbob_decay | 0.5 |
nn_batch_size | 1000 |
eval_save_interval | 100000000 |
loss_output_interval | 1000000 |
mirror_percentage | 50 |
eval_limit | 32000 |
weight_by_progress | 無効 |
次元下げ | K・P・相対KP |
学習データ内で重複した局面の除外 | バージョンのデフォルトに依存する |
初期ネットワークパラメーター | tanuki-wcsc28 |
勝敗項の教師信号 | 0.999 |
レーティング測定
対局相手 | 対局開始時に置換表をクリアせずに生成した学習データを用いて学習させた評価関数 |
思考時間 | 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算 |
対局数 | 5000 |
同時対局数 | 64 |
ハッシュサイズ | 768 |
開始局面 | たややん互換局面集 |
実験結果
棋譜生成速度
置換表をクリアしない場合
981673134 / 1000000000
elapsed time = 45:00:00
current date time = 2023-07-25 20:55:01
finish date time = 2023-07-25 21:45:07
speed = 6096.10 (data/sec)
max speed = 6096.10 (data/sec)
置換表をクリアした場合
989533801 / 1000000000
elapsed time = 68:00:00
current date time = 2023-07-28 17:47:16
finish date time = 2023-07-28 18:30:21
speed = 4047.35 (data/sec)
max speed = 4047.51 (data/sec)
機械学習
レーティング測定
対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=0 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000
思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=yes\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16 Depth1=0
思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tnk-wcsc28-2018-05-05.clear=no\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16 Depth2=0
対局数5000 先手勝ち2461(56.3%) 後手勝ち1913(43.7%) 引き分け626
engine1
勝ち2279(52.1% R12.8 +-9.6) 先手勝ち1280(29.3%) 後手勝ち999(22.8%)
宣言勝ち115 先手宣言勝ち62 後手宣言勝ち53 先手引き分け304 後手引き分け322
engine2
勝ち2095(47.9%) 先手勝ち1181(27.0%) 後手勝ち914(20.9%)
宣言勝ち130 先手宣言勝ち58 後手宣言勝ち72 先手引き分け322 後手引き分け304
2279,626,2095
学習ロスと検証ロスは、対局開始時に置換表をクリアしたほうが下がった。
学習率は、置換表をクリアしたほうは、 1 度だけ下がったあと、学習がすぐに収束した。置換表をクリアしなかったほうは、 1 度下がったあと、何度か下がり、最終的には学習が収束した。
平手局面の評価値は、 どちらも 40 程度だった。
評価値のスケールは、どちらも 1 度上がったあと下がり、最終的には 1.13×10^9 付近に収束した。
レーティングは、置換表をクリアしたほうが R12.8 程度高く、有意な差があった。
棋譜生成速度は 3 割程度遅くなった。
考察
学習ロスと検証ロスについては、置換表をクリアしたほうが、より学習データの内容を学習できていることを表していると考える。これは、置換表をクリアした場合、置換表の誤ったエントリーを探索中に参照する可能性が減ると考える。これにより、探索の精度が高くなり、学習データの質が高くなったのだと考える。
学習率については、置換表をクリアしたほうが、 1 度しか学習率が下がらなかったことを考えると、学習率を下げずとも十分な学習ができたことを表していると考える。この理由として、学習データの同じ局面の教師信号の分散が小さかったためだと考える。これは、置換表をクリアしたことによって、置換表の誤ったエントリーを参照する回数が減り、探索の結果が同じになりやすかったためだと考える。この仮説を証明するには、学習データ内の同一局面における、教師信号の分散を調べればよいと考える。
平手局面の評価値については、学習において大きな問題が起こらなかったことを表していると考える。
評価値のスケールについては、今回生成した 2 つの学習データの教師信号の平均値が、ほぼ同じであったことを表していると考える。
レーティングについては、置換表をクリアしたほうが、学習データの質が高まることを表していると考える。
まとめ
tanuki- 学習データ生成部の各対局の開始時に置換表をクリアし、学習データを生成し、学習させ、レーティングを比較した。
結果、対局開始時に置換表をクリアして生成した学習データを用いて学習させたほうが、 R12.8 高く、有意な差があった。ただし、棋譜の生成速度は遅くなった。
次回は、対局開始時に世代カウンターを 4 回回し、学習データを生成し、学習させ、レーティングを比較したい。