nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2023-04-16 MCTS ベースの定跡データベース生成手法 (3)

tanuki- 2023-04-16 MCTS ベースの定跡データベース生成手法 (3)

実験内容

  • たややん式定跡生成手法 2020 改良の一つとして、定跡データベース内で MCTS べースで定跡の延長を行った。
    • floodgate の棋譜のうち、レーティング 3800 以上のソフト同士の対局の棋譜を使う。
    • ある指し手を指したときの勝率が 33% 以上の指し手のみ使う。
    • floodate での出現回数が 2 回以上、またはプレイアウトした回数が 1 回以上の指し手を使う。
    • プレイアウト回数が 5 回未満のノードについて、プレイアウトを行う。
    • プレイアウトには、長時間の思考での対局を行う。
    • プレイアウトの棋譜は定跡データベースに追加していく。
  • 上記の条件で、 https://docs.google.com/document/d/1sj9HtchZCj3-9F5KETt2rQJp0IxDyIh55BQaWLEqp9s/edit と比較し、さらにプレイアウトの回数を増やした。

定跡生成

生成ルーチン たややん式定跡生成手法 2020 + MCTS
棋譜 floodgate の 2020~2023 年の棋譜
レーティング下限 3800
レーティング表 2022-04-29 閲覧および 2022-11-28 閲覧
勝率下限 33%
出現頻度下限 2 回以上

レーティング測定

対局相手 wcsc32 マメット・ブンブク定跡
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 384
開始局面 平手

実験結果

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=0 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.10 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\halfkp_1024x2-8-32.add.Suishopsv-150m.eta2=0.001.min_progress=0.1\20 定跡手数=256 定跡ファイル名=create_utc_book.2023-04-15.db 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.10 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\halfkp_1024x2-8-32.add.Suishopsv-150m.eta2=0.001.min_progress=0.1\20 定跡手数=256 定跡ファイル名=tanuki-wcsc32.2022-05-01.db 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16

対局数5000 先手勝ち2496(54.7%) 後手勝ち2065(45.3%) 引き分け439

engine1

勝ち2254(49.4% R-3.7 +-9.6) 先手勝ち1237(27.1%) 後手勝ち1017(22.3%)

宣言勝ち46 先手宣言勝ち20 後手宣言勝ち26 先手引き分け214 後手引き分け225

engine2

勝ち2307(50.6%) 先手勝ち1259(27.6%) 後手勝ち1048(23.0%)

宣言勝ち58 先手宣言勝ち29 後手宣言勝ち29 先手引き分け225 後手引き分け214

2254,439,2307

今回作成した定跡は、マメット・ブンブク定跡と比べ、 R -3.7 レーティングが低かったが、有意差はなかった。

考察

レーティング

プレイアウトの回数を増やし、登録されている指し手を増やしても、これ以上のレーティングの伸びは、期待できないと思われる。

まとめ

たややん式定跡生成手法 2020 改良の一つとして、定跡データベース内で MCTS べースで定跡の延長を行った。その際、プレイアウトの回数を増やし、さらに多くの指し手を定跡データベースに追加した。結果、マメット・ブンブク定跡とくらべて、有意差はなかった。

次回は、たややん式定跡生成手法 2020 の再現性を調べたあと、複数のソフトの対局の棋譜を加える、いちびん式定跡生成手法 2023 を組み合わせたものを試してみたい。