nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2023-11-17 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 ネットワークパラメーターの量子化

tanuki- 2023-11-17 nnue-pytorch halfkp_1024x2-8-32 ネットワークパラメーターの量子化

実験内容

  • nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させる。
  • 学習中、 1 epoch 学習するたびに、ネットワークパラメーターを量子化する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 水匠5
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
生成局面数 10 億局面 × 8 セット
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

シャッフル条件

生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
qsearch() あり
置換表 無効

機械学習

機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2023-10-29.halfkp_1024x2-8-32
学習モデル halfkp_1024x2-8-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
初期学習率 (lr) 1.0
最適化手法 なし
学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
batch-size 16384
threads 8
num-workers 8
gpus 1
features HalfKP
max-epoch 5000
scaling (kPonanzaConstant) 600
lambda 0.5
勝敗項の教師信号 0.999
num-batches-warmup 10000
newbob-decay 0.5
epoch-size 10000000
num-epochs-to-adjust-lr 50
学習を打ち切る下限学習率 1e-5

レーティング測定

対局相手 tanuki-wcsc32 (マメット・ブンブク)
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 384
開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

実験結果

機械学習

ネットワークパラメターの分布

Converting D:\hnoda\shogi\nnue-python.train.2023-10-18\lightning_logs\version_32\checkpoints\last.ckpt to D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2023-11-15\nn.nnue

ft bias:

-123 |

-81.33 |

-39.67 | ##################################################

2 |

43.67 |

85.33 |

ft weight:

-78 |

-47.67 |

-17.33 | ##################################################

13 |

43.33 |

73.67 |

fc bias:

-2882 | #################################

50 | ##################################################

2982 | ################

5914 | ################

8846 |

1.178e+04 | ################

layer has 0/16384 clipped weights. Exceeding by 0.0 the maximum 1.984375.

fc weight:

-127 |

-88 |

-49 |

-10 | ##################################################

29 |

68 |

fc bias:

-7237 | ##################

-4288 | ##################

-1339 | ##################################################

1610 | ####################################

4558 | #############

7507 | #########

layer has 0/256 clipped weights. Exceeding by 0.0 the maximum 1.984375.

fc weight:

-118 | #

-80.83 | #####

-43.67 | ########################################

-6.5 | ##################################################

30.67 | #######

67.83 | ##

fc bias:

-1482 |

-1482 |

-1482 |

-1482 | ##################################################

-1482 |

-1482 |

layer has 0/32 clipped weights. Exceeding by 0.0 the maximum 1.6801041666666667.

fc weight:

-127 | ###########

-84.67 | #######

-42.33 | ##############################

0 | ##################################################

42.33 | #######

84.67 | ###############

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2023-11-15 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=true SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16 Depth1=0

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.63 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\tanuki-wcsc32-2022-05-06\eval 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=true 定跡の手数を無視する=true SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16 Depth2=0

対局数5000 先手勝ち2492(50.3%) 後手勝ち2465(49.7%) 引き分け43

engine1

勝ち66(1.3% R-699.7 +-36.7) 先手勝ち39(0.8%) 後手勝ち27(0.5%)

宣言勝ち1 先手宣言勝ち1 後手宣言勝ち0 先手引き分け22 後手引き分け21

engine2

勝ち4891(98.7%) 先手勝ち2453(49.5%) 後手勝ち2438(49.2%)

宣言勝ち0 先手宣言勝ち0 後手宣言勝ち0 先手引き分け21 後手引き分け22

66,43,4891

学習ロスと検証ロスは、学習を開始してからしばらく同じ値を続けたあと、少し上がり、下がっていった。

学習 epoch 数は、量子化なしと比べて小さかった。

レーティングは、 tanuki-wcsc32-2022-05-06 にくらべて R-699.7 低く、有意な差があった。

ネットワークパラメーターは、クリップしているものはなかった。

考察

学習ロスと検証ロスが学習を開始してからしばらく同じ値を続けたのは、学習開始時に意図通り学習できていないことを表していると思う。原因として、ネットワークパラメーターを量子化していることにより、勾配が意図していない値となっている可能性があると思う。

学習ロスト検証ロスが大きく乖離していないことから、過学習は起こっていないと思う。

学習 epoch 数が短くなったのは、学習が進まず、早い段階で収束したためだと思う。

レーティングについては、学習が進んでいないことを表していると思う。原因は、ネットワークパラメーターを量子化したことだと思う。ただし、やねうら王の学習器もネットワークパラメーターを 1 epoch ごとに量子化していることを考えると、やり方の違いが原因だと思う。

まとめ

nnue-pytorch を用い、 halfkp_1024x2-8-32 ネットワークを学習させた。学習中、 1 epoch 学習するたびに、ネットワークパラメーターを量子化した。

結果、レーティングは、 tanuki-wcsc32-2022-05-06 にくらべて R-699.7 低く、有意な差があった。原因は学習データを十分に学習できていないことだと思う。

次回は、量子化なしで学習したあと、量子化ありで学習する手法を試してみたい。