nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2024-12-17 大森さんのブランチ

tanuki- 2024-12-17 大森さんのブランチ

実験内容

  • 氷彗開発者大森さんのブランチを試す。
  • 棋譜生成

    ランダムパラメーターから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
    評価関数 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1
    1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
    開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。戦型が角換わりの対局が 10% になるよう調整した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
    生成局面数 10 億局面 × 8 セット
    生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した
    フォルダ名 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1

    シャッフル条件

    ランダムパラメータから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.0

    Fine-tuning に用いる学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.1

    機械学習

    機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2024-12-08.hisui
    学習モデル halfka_1536-15-64
    学習手法 ミニバッチ SGD
    初期学習率 (lr) 0.5 収束後 0.05
    最適化手法 なし
    学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
    batch-size 16384
    threads 8
    num-workers 8
    accelerator gpu
    devices 1
    features HalfKP
    max-epoch 1000000
    score-scaling 511
    lambda 1.0 収束後 60 手目までは手数に応じて lambda を 1.0 から 0.0 まで線形に下げる。 60 手目以降は 0.0 とする。
    勝敗項の教師信号 1.0 - 1e-8
    num-batches-warmup 10000
    newbob-decay 0.5
    epoch-size 1000000
    num-epochs-to-adjust-lr 500
    学習を打ち切る下限 newbob scale 1e-5
    1 epoch 毎のネットワークパラメーターのクリップ あり
    ネットワークパラメーターの量子化 量子化なしで学習し、収束後に量子化する。
    ネットワークパラメーターの初期化方法 pytorch のデフォルトの初期化手法で初期化する。
    勾配の正規化 なし
    momentum 0.9
    入玉ボーナス 入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 20 点、大駒 1 枚につき 100 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 20 点追加する。

    レーティング測定

    対局相手 https://docs.google.com/document/d/1rTkwx-9YFiHwtHdzN8EMcNA1ZhP-kLi95e9xQ9tDyWs/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0
    思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
    対局数 5000
    同時対局数 64
    ハッシュサイズ 384
    開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

    実験結果

    機械学習

    ランダムパラメーターからの学習

    検証ロス

    HalfKP+Mobility … 0.08258476575728385

    halfkp_512x2-8-96 … 0.3736974278111612

    Fine-tuning

    レーティング測定

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-12-08.0 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する true true

    定跡の手数を無視する true true

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2505(52.9%) 後手勝ち2226(47.1%) 引き分け269

    engine1

    勝ち808(17.1% R-253.6 +-12.3) 先手勝ち463(9.8%) 後手勝ち345(7.3%)

    宣言勝ち28 先手宣言勝ち16 後手宣言勝ち12 先手引き分け155 後手引き分け114

    engine2

    勝ち3923(82.9%) 先手勝ち2042(43.2%) 後手勝ち1881(39.8%)

    宣言勝ち12 先手宣言勝ち7 後手宣言勝ち5 先手引き分け114 後手引き分け155

    808,269,3923

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-12-08.1 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する true true

    定跡の手数を無視する true true

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2494(52.8%) 後手勝ち2227(47.2%) 引き分け279

    engine1

    勝ち795(16.8% R-255.4 +-12.4) 先手勝ち453(9.6%) 後手勝ち342(7.2%)

    宣言勝ち19 先手宣言勝ち11 後手宣言勝ち8 先手引き分け160 後手引き分け119

    engine2

    勝ち3926(83.2%) 先手勝ち2041(43.2%) 後手勝ち1885(39.9%)

    宣言勝ち16 先手宣言勝ち8 後手宣言勝ち8 先手引き分け119 後手引き分け160

    795,279,3926

    学習ロスと検証ロスは、ランダムパラメーターからの学習においても Fine-tuning においても、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 より低くなった。

    自己対局では、ランダムパラメーターから学習させたネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 に対してレーティングが R253.6 低く、有意な差があった。 Fine-tuning したネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 に対してレーティングが R255.4 低く、有意な差があった。

    考察

    学習ロスと検証ロスが、ランダムパラメーターからの学習においても Fine-tuning においても tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 より低くなったのは、大森さんのブランチのロスの式が、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 を学習させたときのロスの式と異なっているためだと思う。

    自己対局で、ランダムパラメーターから学習させた評価関数と Fine-tuning した評価関数のレーティングに有意な差があった理由は、今回の実験からだけでは分からなかった。大森さんのブランチの変更を一つずつ revert し、どこで差ができたのかを調べる必要があると思う。

    まとめ

    氷彗開発者大森さんのブランチを試した。学習器には https://github.com/saihyou/nnue-pytorch/tree/feature/layer_stack_1536 に、自分のブランチの内容をマージしたものを使用した。思考エンジンには https://github.com/saihyou/YaneuraOu/tree/feature/layer_stack を halfka_1536-15-64 に対応させたものを使用した。

    自己対局では、ランダムパラメーターから学習させたネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 に対してレーティングが R253.6 低く、有意な差があった。 Fine-tuning したネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-22.0 に対してレーティングが R255.4 低く、有意な差があった。

    自己対局で、ランダムパラメーターから学習させた評価関数と Fine-tuning した評価関数のレーティングに有意な差があった理由は、今回の実験からだけでは分からなかった。大森さんのブランチの変更を一つずつ revert し、どこで差ができたのかを調べる必要があると思う。

    tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 の教師信号の評価値を、 DL 水匠の Value を評価値に変換したものに置き換え、学習させ、レーティングを計測したい。