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コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2024-11-22 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 で生成した学習データによる学習 1 回目の収束後の lambda=0.1

tanuki- 2024-11-22 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 で生成した学習データによる学習 1 回目の収束後の lambda=0.1

実験内容

  • tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 を用いて生成した学習データで学習させる。
    • ランダムパラメーターからの学習には、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 を用いて生成した学習データを用いる。
    • Fine-tuning に Suisho10Mn_psv を学習データとして用いる。
    • 1 回目の収束のあと lambda=0.1 に変更して学習させる。

    棋譜生成

    ランダムパラメーターから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
    評価関数 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1
    1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
    開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜を使用した。レーティング 3900 以上同士の対局のみ使用した。戦型が角換わりの対局が 10% になるよう調整した。 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした。ランダムムーブはしなかった。
    生成局面数 10 億局面 × 8 セット
    生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した
    フォルダ名 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1

    シャッフル条件

    ランダムパラメータから学習させる際の学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.0

    Fine-tuning に用いる学習データ

    生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
    qsearch() あり
    置換表 無効
    min_progress 0.1

    機械学習

    機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2024-05-26.halfkp_512x2-8-96
    学習モデル halfkp_512x2-8-96
    学習手法 ミニバッチ SGD
    初期学習率 (lr) 0.5 収束後 0.05
    最適化手法 なし
    学習率調整手法 Warmup + Newbob 風
    batch-size 16384
    threads 8
    num-workers 8
    accelerator gpu
    devices 1
    features HalfKP
    max-epoch 1000000
    score-scaling 511
    lambda 1.0 収束後 0.1
    勝敗項の教師信号 1.0 - 1e-8
    num-batches-warmup 10000
    newbob-decay 0.5
    epoch-size 1000000
    num-epochs-to-adjust-lr 500
    学習を打ち切る下限 newbob scale 1e-5
    1 epoch 毎のネットワークパラメーターのクリップ あり
    ネットワークパラメーターの量子化 量子化なしで学習し、収束後に量子化する。
    ネットワークパラメーターの初期化方法 pytorch のデフォルトの初期化手法で初期化する。
    勾配の正規化 なし
    momentum 0.9
    入玉ボーナス 入玉時、持ち駒および敵陣三段目までに侵入している駒について、小駒 1 枚につき 20 点、大駒 1 枚につき 100 点、敵陣三段目までに侵入している駒 1 枚につき 20 点追加する。

    レーティング測定

    対局相手 https://docs.google.com/document/d/1wCpBATyZs1j3iibk2JSG1xxH_DNbPciXlSd1zfemkjs/edit?usp=sharing tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1
    思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
    対局数 5000
    同時対局数 64
    ハッシュサイズ 384
    開始局面 dlshogi 互角局面集の角換わりの割合が 10% になるよう間引いたもの

    実験結果

    機械学習

    ランダムパラメーターからの学習

    検証ロス

    tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 lambda=0.1 … 0.4177384674318376

    tanuki-.halfkp_256x2-32-32.2023-05-08+suisho5.entering_king.2024-02-20.shuffled … 0.26532587229821

    Fine-tuning

    ネットワークパラメーターの分布

    ランダムパラメーターからの学習

    mean=-19.91796875 std=19.876258850097656

    mean=-0.005720119923353195 std=3.4323861598968506

    mean=2814.375 std=1572.5296630859375

    mean=0.140625 std=5.8131279945373535

    mean=-1911.21875 std=3589.21044921875

    mean=0.8958333134651184 std=31.96974754333496

    mean=-3572.0 std=nan

    mean=3.5625 std=50.30952835083008

    Fine-tuning

    mean=-19.91796875 std=19.876258850097656

    mean=-0.005720135290175676 std=3.4323861598968506

    mean=2821.125 std=1580.5289306640625

    mean=0.1416015625 std=5.813271999359131

    mean=-1911.0625 std=3589.2626953125

    mean=0.8958333134651184 std=31.96974754333496

    mean=-3572.0 std=nan

    mean=3.5625 std=50.30952835083008

    レーティング測定

    実験時間の都合上、tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-20.0 のレーティング測定は省略した。

    対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=384 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\TanukiColiseum\floodgate32-80.adjust_bishop_exchange.sfen NUMAノード数=1 表示更新間隔(ms)=3600000

    思考エンジン1 思考エンジン2

    name YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT YaneuraOu NNUE 8.30git 64ZEN2 TOURNAMENT

    author by yaneurao by yaneurao

    exeファイル C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2023-04-16\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe

    評価関数フォルダパス D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-11-20.1 D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1

    定跡手数 256 256

    定跡ファイル名 no_book no_book

    思考ノード数 0 0

    思考ノード数に加える乱数(%) 0 0

    思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる False False

    持ち時間(ms) 300000 300000

    秒読み時間(ms) 0 0

    加算時間(ms) 2000 2000

    乱数付き思考時間(ms) 0 0

    スレッド数 1 1

    BookEvalDiff 30 30

    定跡の採択率を考慮する true true

    定跡の手数を無視する true true

    SlowMover 100 100

    DrawValue -2 -2

    BookEvalBlackLimit 0 0

    BookEvalWhiteLimit -140 -140

    FVScale 16 16

    Depth=0 0

    MinimumThinkingTime 1000 1000

    対局数5000 先手勝ち2408(54.1%) 後手勝ち2041(45.9%) 引き分け551

    engine1

    勝ち2397(53.9% R24.0 +-9.7) 先手勝ち1307(29.4%) 後手勝ち1090(24.5%)

    宣言勝ち41 先手宣言勝ち15 後手宣言勝ち26 先手引き分け244 後手引き分け307

    engine2

    勝ち2052(46.1%) 先手勝ち1101(24.7%) 後手勝ち951(21.4%)

    宣言勝ち70 先手宣言勝ち30 後手宣言勝ち40 先手引き分け307 後手引き分け244

    2397,551,2052

    学習ロスと検証ロスは、ランダムパラメーターからの学習においては、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.0 および score_scaling=361 で学習したものより高くなった。 Fine-tuning においても、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1 より高くなった。

    自己対局において、Fine-tuning したネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1 に対してレーティングが R24.0 高く、有意な差があった。また、 1 回収束したあとの lambda を 0.2 に設定した場合と比べて、相対的なレーティング差は高くなった。ただし、直接的なレーティング差の測定はしていない。また、入玉宣言勝ちの回数は 1/2 程度だった。

    考察

    学習ロスと検証ロスが、ランダムパラメーターからの学習において tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.0 より高くなったのは、1 回収束したあとの lambda を小さくしたためだと思う。ロスは勝率項より勝敗項のほうが大きく、 lambda を小さくすることにより勝敗項の重みが大きくなったため、トータルのロスが大きくなったのだと思う。

    学習ロスと検証ロスが、 Fine-tuning において tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1 より高くなった理由は、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1 を用いて生成した学習データと、 Hao を用いて生成した学習データとで、後者の方が Suisho10Mn_psv に性質が似ていたためだと思う。

    自己対局において、 Fine-tuning した評価関数のレーティングに有意な差があった理由は、ランダムパラメーターから学習させた評価関数のレーティングが高くなり、 Fire-tuning によりさらに高くなったためだと思う。両方の場合において、1 回収束したあとの lambda を 0.2 に設定した場合と比べて、相対的にレーティングが高くなった理由は、教師データを生成する際に使用した評価関数の精度が高く、教師データの教師信号のうち勝敗項の精度が高いためだと思う。

    まとめ

    tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 を用いて生成した学習データで学習させた。ランダムパラメーターからの学習には、 tanuki-.nnue-pytorch-2024-07-30.1 を用いて生成した学習データを用いた。Fine-tuning に Suisho10Mn_psv を学習データとして用いた。1 回目の収束のあと lambda=0.1 に変更して学習させた。

    自己対局において、Fine-tuning したネットワークパラメーターは tanuki-.nnue-pytorch-2024-06-07.1 に対してレーティングが R24.0 高く、有意な差があった。また、 1 回収束したあとの lambda を 0.2 に設定した場合と比べて、相対的なレーティング差は高くなった。ただし、直接的なレーティング差の測定はしていない。また、入玉宣言勝ちの回数は 1/2 程度だった。

    自己対局において、 Fine-tuning した評価関数のレーティングに有意な差があった理由は、ランダムパラメーターから学習させた評価関数のレーティングが高くなり、 Fire-tuning によりさらに高くなったためだと思う。両方の場合において、1 回収束したあとの lambda を 0.2 に設定した場合と比べて、相対的にレーティングが高くなった理由は、教師データを生成する際に使用した評価関数の精度が高く、教師データの教師信号のうち勝敗項の精度が高いためだと思う。

    次回は一度収束したあと、 P 手目までは lambda = 1.0 - ply / P、P 手目以降は lambda = 0.0 として学習させ、レーティングを測定したい。