nodchipのコンピューター将棋ブログ

コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2022-06-27 nnue-pytorch step と gamma の調整

tanuki- 2022-06-27 nnue-pytorch step と gamma の調整

実験内容

  • nnue-pytorch を用いた学習で、 StepLR の step と gamma を、 nnue-pytorch 本家最新版に変更し、レーティングを測定する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 水匠5 FV_SCALE=16
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし
生成局面数 10 億局面 × 8 セット
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

シャッフル条件

生成ルーチン tanuki-シャッフルルーチン
qsearch() あり
置換表 無効

機械学習

機械学習ルーチン nnue-pytorch + やねうら王 https://github.com/nodchip/nnue-pytorch/tree/shogi.2022-05-23
学習モデル halfkp_256x2-32-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
最適化手法 Ranger
学習率調整手法 StepLR step=1 gamma=0.992
batch-size 16384
threads 2
num-workers 2
gpus 1
features HalfKP
max_epoch 300
scaling (kPonanzaConstant) 361
lambda 0.5
勝敗項の教師信号 1.0

レーティング測定

対局相手 tanuki- 2022-04-01 halfkp_256x2-32-32 再実験 https://docs.google.com/document/d/1U2dtYgksApn9GYIUJEUtceE0Yc-0dfmx6kA44FopDXc/edit
思考時間 持ち時間 300 秒 + 1 手 2 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 768
開始局面 たややん互換局面集

実験結果

機械学習

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=2 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.10 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-.nnue-pytorch-2022-06-29 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale1=16

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.10 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2022-05-02\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\suisho5.halfkp_256x2-32-32.80G\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=300000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=2000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140 FVScale2=16

対局数5000 先手勝ち2231(51.0%) 後手勝ち2141(49.0%) 引き分け628

engine1

勝ち2021(46.2% R-23.0 +-9.7) 先手勝ち1041(23.8%) 後手勝ち980(22.4%)

宣言勝ち19 先手宣言勝ち11 後手宣言勝ち8 先手引き分け299 後手引き分け329

engine2

勝ち2351(53.8%) 先手勝ち1190(27.2%) 後手勝ち1161(26.6%)

宣言勝ち64 先手宣言勝ち26 後手宣言勝ち38 先手引き分け329 後手引き分け299

2021,628,2351

学習ロスは、パラメーター調整前と比べて同じか、やや下がった。

検証ロスは、パラメーター調整前は、学習率が下がったときに急激に下がり、その後徐々に上がるのを繰り返していた。パラメーター調整後は、おおよそなだらかに下がり続けるようになった。

レーティングは、あくまで共通の対局相手とのレーティング差の比較になるが、パラメーター調整前に比べ、 R+14.8 程度上がった。ただし、直接対局させたわけではないため、本当にレーティングが上がったかどうかは分からない。

考察

学習ロスと検証ロスを見る限り、パラメーター調整後のほうが良く学習できているように思われる。

また、レーティングについては、パラメーター調整後のほうが強くなっているように思われる。ただし、できれば直接パラメーター調整前との対局をさせるべきだった。なお、今から直接パラメーター調整前との対局をさせた場合、多重検定の罠に引っかかるため、好ましくないと思われる。

まとめ

nnue-pytorch を用いた学習で、 StepLR の step と gamma を、 nnue-pytorch 本家最新版に変更し、レーティングを測定した。結果、パラメーター調整後のほうが、レーティングが伸びた可能性がある。今後は、このパラメーターを用いて実験していきたい。また、最適化手法についても、 Ranger 以外のものを試してみたい。