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コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2022-01-13 棋譜生成時の引き分けの評価値

tanuki- 2022-01-13 棋譜生成時の引き分けの評価値

実験内容

  • 棋譜生成時の引き分けの評価値の違いにより、レーティングに変化があるか測定する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 水匠2
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし
生成局面数 10 億局面 × 2 セット
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

機械学習

機械学習ルーチン やねうら王機械学習ルーチン
学習モデル halfkp_vm_256x2-32-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
USI_Hash 1024
Threads 16
loop 100
batchsize 1000000
lambda 0.5
eta 1.0
newbob_decay 0.5
nn_batch_size 1000
eval_save_interval 100000000
loss_output_interval 1000000
mirror_percentage 50
eval_limit 32000
weight_by_progress 無効
次元下げ なし
学習データ内で重複した局面の除外 しない
初期ネットワークパラメーター tanuki-wcsc29
勝敗項の教師信号 0.80

レーティング測定

対局相手 tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false.startpos
思考時間 持ち時間 900 秒 + 1 手 5 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 768
開始局面 たややん互換局面集

実験結果

棋譜生成

引き分けの評価値を -2 に設定した場合

998290486 / 1000000000

elapsed time = 48:00:00

current date time = 2022-01-01 23:38:10

finish date time = 2022-01-01 23:43:04

speed = 5796.33 (data/sec)

max speed = 5819.16 (data/sec)

Number of plays per record=118

引き分けの評価値を -100 に設定した場合

991171960 / 1000000000

elapsed time = 49:00:00

current date time = 2022-01-11 08:04:13

finish date time = 2022-01-11 08:30:13

speed = 5655.74 (data/sec)

max speed = 5655.74 (data/sec)

Number of plays per record=118

機械学習

レーティング測定

対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=2 表示更新間隔(ms)=3600000

思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.00 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false.startpos.DrawValue=-100\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=900000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=5000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140

思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.00 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false.startpos\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=900000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=5000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140

対局数5000 先手勝ち2171(53.2%) 後手勝ち1907(46.8%) 引き分け922

engine1

勝ち2042(50.1% R0.4 +-9.6) 先手勝ち1104(27.1%) 後手勝ち938(23.0%)

宣言勝ち29 先手宣言勝ち14 後手宣言勝ち15 先手引き分け493 後手引き分け429

engine2

勝ち2036(49.9%) 先手勝ち1067(26.2%) 後手勝ち969(23.8%)

宣言勝ち186 先手宣言勝ち101 後手宣言勝ち85 先手引き分け429 後手引き分け493

2042,922,2036

まとめ

棋譜生成時の引き分けの評価値の違いにより、レーティングに変化があるか測定した。

学習ロスは、引き分けの値を -2 に設定した場合とほとんど変わらなかった。

検証ロスは、引き分けの値を -2 に設定した場合より高くなった。

指し手一致率は、引き分けの値を -2 に設定した場合よりやや高くなった。また、計測のブレが小さかった。

平手局面の評価値は、引き分けの値を -2 に設定した場合と変わらなかった。

評価値の絶対値は、引き分けの値を -2 に設定した場合と変わらなかった。

レーティングは、引き分けの値を -2 に設定した場合と有意な差はなかった。

学習ロスが変わらず、検証ロスが上がっている点については、過学習が起きている可能性を表しているものと思われる。原因は不明である。

最終的な指し手一致率については、計測誤差の可能性がある。計測のブレの小ささの原因は不明である。

平手局面の評価値については、学習が大きく失敗していない事を表しているものと思われる。

評価値の絶対値については、教師データに含まれる評価値に、大きな違いがないことを表しているものと思われる。

レーティングについては、引き分けの評価値の値は、少なくとも -2 と -100 の間では、大きな違いがないことを表している。

引き分けの評価値を -100 に設定する明示的な理由は見つからなかった。今後の棋譜生成においては、 -2 を使用していきたい。