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コンピューター将棋ソフト「tanuki-」シリーズの実験結果を掲載しています。

tanuki- 2022-01-03 棋譜生成時の開始局面

tanuki- 2022-01-03 棋譜生成時の開始局面

実験内容

  • 棋譜生成時の開始局面の違いによりレーティングに変化があるか測定する。

棋譜生成

生成ルーチン tanuki-棋譜生成ルーチン
評価関数 水匠2
1手あたりの思考 深さ最大 9 思考ノード数最大 50,000 ノード
開始局面 foodgate の 2020 年~ 2021 年の棋譜のうち、レーティング 3900 以上同士の対局の 32 手目までから 1 局面ランダムに選択し、その局面を開始局面とした ランダムムーブなし
生成局面数 10 億局面 × 2 セット
生成条件 対局は打ち切らず詰みの局面まで学習データに出力した

機械学習

機械学習ルーチン やねうら王機械学習ルーチン
学習モデル halfkp_vm_256x2-32-32
学習手法 SGD ミニバッチ法
USI_Hash 1024
Threads 16
loop 100
batchsize 1000000
lambda 0.5
eta 1.0
newbob_decay 0.5
nn_batch_size 1000
eval_save_interval 100000000
loss_output_interval 1000000
mirror_percentage 50
eval_limit 32000
weight_by_progress 無効
次元下げ なし
学習データ内で重複した局面の除外 しない
初期ネットワークパラメーター tanuki-wcsc29
勝敗項の教師信号 0.80

レーティング測定

対局相手 tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false
思考時間 持ち時間 900 秒 + 1 手 5 秒加算
対局数 5000
同時対局数 64
ハッシュサイズ 768
開始局面 たややん互換局面集

実験結果

機械学習

レーティング測定

16:18:00.955 対局数=5000 同時対局数=64 ハッシュサイズ=768 開始手数=24 最大手数=320 開始局面ファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\TanukiColiseum\taya36_2020-11-06.sfen NUMAノード数=2 表示更新間隔(ms)=3600000

16:18:00.955 思考エンジン1 name=YaneuraOu NNUE 7.00 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\engine1\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false.startpos\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=900000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=5000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140

16:18:00.955 思考エンジン2 name=YaneuraOu NNUE 7.00 64ZEN2 TOURNAMENT author=by yaneurao exeファイル=C:\Jenkins\workspace\TanukiColiseum.2021-09-05\engine2\source\YaneuraOu-by-gcc.exe 評価関数フォルダパス=D:\hnoda\shogi\eval\tanuki-wcsc29.halfkp_vm_256x2-32-32.suisho-wcsoc2020.depth=9.GeneratorRandomMove=false\final 定跡手数=256 定跡ファイル名=no_book 思考ノード数=0 思考ノード数に加える乱数(%)=0 思考ノード数の乱数を1手毎に変化させる=False 持ち時間(ms)=900000 秒読み時間(ms)=0 加算時間(ms)=5000 乱数付き思考時間(ms)=0 スレッド数=1 BookEvalDiff=30 定跡の採択率を考慮する=false 定跡の手数を無視する=false SlowMover=100 DrawValue=-2 BookEvalBlackLimit=0 BookEvalWhiteLimit=-140

16:18:00.955 対局数5000 先手勝ち2182(53.3%) 後手勝ち1915(46.7%) 引き分け903

16:18:00.955 engine1

16:18:00.955 勝ち2141(52.3% R12.9 +-9.6) 先手勝ち1140(27.8%) 後手勝ち1001(24.4%)

16:18:00.955 宣言勝ち186 先手宣言勝ち98 後手宣言勝ち88 先手引き分け458 後手引き分け445

16:18:00.955 engine2

16:18:00.955 勝ち1956(47.7%) 先手勝ち1042(25.4%) 後手勝ち914(22.3%)

16:18:00.955 宣言勝ち44 先手宣言勝ち19 後手宣言勝ち25 先手引き分け445 後手引き分け458

16:18:00.955 2141,903,1956

まとめ

棋譜生成時の開始局面の違いによりレーティングに変化があるか測定した。

学習ロスと検証ロスは、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうが高くなった。

指し手一致率は、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうがやや高くなった。

平手局面の評価値は、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうがやや低くなった。

評価値の絶対値は、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうがやや低くなった。

レーティングは、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうが有意に高くなった。

学習ロスと検証ロスについては、ロスの計算式より、学習データに含まれる評価値が 0 に近いものが多いためだと考えられる。この原因として、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局のほうが、そうでないものに比べ、形勢が傾くまでにかかる手数が長いことが考えられる。これについて詳しく検証したいのであれば、手数と評価値の絶対値の相関を調べればよいと思われる。

指し手一致率についても、評価値が 0 に近い局面の割合が増えたことが原因の可能性がある。ただし、これについても検証が必要である。

平手局面の評価値についても、評価値が 0 に近い局面の割合が増えたことが原因の可能性がある。ただし、これについては学習が大きく失敗していない事が確認できれば良いため、検証の必要はないと思われる。

評価値の絶対値についても、評価値が 0 に近い局面の割合が増えたことが原因の可能性がある。これは、学習の結果、評価値のスケールが下がった可能性と、検証データに評価値が 0 に近い局面の割合が増えたことの、 2 つの可能性が考えられる。

レーティングについては、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜を使用したほうが良い結果が得られると考えてよいと思われる。

今後は、レーティング 3900 以上のソフト同士の対局の棋譜から開始局面を選びたいと思う。